今回は、前回説明した歯周病の原因の一つ、歯石に関して説明していきたいと思います。
★歯石とは?
歯についた歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌の固まりが唾液の成分で石灰化を起こして固まったものが歯石です。歯石の表面はザラついているため汚れが付きやすく、プラーク(細菌の固まり)で覆われてしまいます。
歯周ポケットに入り込んでいる歯石は、常に歯肉の内側にプラークが直接触れている状態なので、歯肉は炎症を起こし、赤く腫れ、出血もします。さらに歯を支えている骨まで破壊されていきます。
歯石は歯磨きで磨き残した歯垢が2日間ほどで歯石へと変わってしまうと言われていますので、一旦歯に付いてしまうと歯ブラシでは取れずクリニックで取り除いてもらわなければなりません。
★歯石ができやすいところ
①歯と歯の隙間
②歯と歯茎の隙間
③上の奥歯
④下の前歯の裏側
★歯石には2種類ある
①縁上歯石
・黄白色、灰白色
・プラーク(歯垢)が原因
・唾液によって石灰化する
・縁下歯石に比べると量が多く、形成が早い
・縁下歯石より柔らかく、比較的簡単に除去できる
・歯肉炎の原因になる
②縁下歯石
・黒褐色
・歯ぐきからの出血が原因
・歯肉溝浸出液(歯周ポケットの浸出液)が石灰化に強く関与
・縁上歯石に比べると量は多くない
・縁上歯石よりかなり硬く除去が困難
・歯周病の原因になる
★歯石が及ぼす影響
- ①歯周病が進行してしまう
歯石のザラザラした表面に入り込んだ歯周病菌が歯肉に対し、常に悪さをし続けることになります。歯石を取らないでいる限り、どんなに歯磨きを頑張っても、歯茎は炎症を起こし続けて歯周病がどんどん進行してしまうのです。
- ②口臭の原因になる
歯石がついていると、その表面に無数に絡みついている歯周病菌をはじめとする口臭の原因菌がどんどん増えていってしまいます。
- ③全身の病気を引き起こすことがある
歯石がついていると歯周病を悪化させます。そして歯周病菌は血管の中に入り込んだり、呼吸器から肺の方へ行ってしまうことで、心臓病、脳梗塞、糖尿病、肺炎などの病気を起こすことがあるのです。
★歯石なしを目指して!
日頃から歯だけでなく、歯と歯肉の境目を適切な圧で歯磨きし、歯と歯の間はデンタルフロスや歯間ブラシの使用で歯石の元である歯垢(プラーク)をしっかり除去しましょう!
歯石取りの間隔は、一般的には3~4ヶ月に1度くらいが目安です。
ただし、歯周病が重度の場合や、非常に歯石が溜まりやすい人だと、もっと短めの間隔でオススメすることもあります。歯石は放置するほど硬くなって取りにくくなるので、定期的に歯科医院での歯石除去をおすすめします。